2016年8月9日火曜日

一線を超える「国民主義」

共産党志位和夫委員長 記者会見全文
「憲法は生前退位を禁じていない」
【転載】 - 産経ニュース 2016.8.8 19:21

 共産党の志位和夫委員長は8日、天皇陛下が「生前退位」のご意向を示されたことを受け、党本部で記者会見し、天皇制について「綱領上、その存廃については国民的な合意を得て決められるべきだということに留めている」と述べた。志位氏の発言は以下のとおり。

天皇陛下がビデオメッセージで生前退位のご意向を強く示唆された。

 「高齢によって象徴としての責任を果たすことが難しくなるのではないかと案じているというお気持ちはよく理解できます。政治の責任として生前退位について真剣な検討が必要だと思います。以上です」
 

生前退位を仮に認めるとする場合は、皇室典範の改正など国会の役割が出てくると思うが、こうした議論をいつぐらいに始まると想定するか

 「いつということはね、これはまだ、そういうことを言える段階ではありません。いずれにせよ、しかし、生前退位ということになれば、法的な措置が必要となってきますが、それは国民の合意、そして国民的な議論も踏まえて国会として政治の責任においてなされるべきだと考えております」
 

共産党は象徴天皇制ついてはどのような立場か

 「私たちは現行憲法について現行憲法の前文を含めて全条項を守り平和的民主的諸条項の完全実施を目指すというのが綱領で書いてある立場です。ですからこの全条項という中にはもちろん天皇の制度の条項も入っているんです。ですからそれも含めて、きちっと守っていくというのが私たちの立場です」
 

一方、綱領にはその存廃は情勢が熟したときに国民の総意によって解決されるべきものであるという文言もあるが、これはどういう意味を指しているのか

 「これは天皇の制度に対する将来的な展望について述べているわけであります。で、私たちは民主共和制ということを綱領上は、そういう立場に立っておりますが、天皇の制度はというのは憲法上の制度ですから、その存廃については国民的な合意を得て決められるべきだということにとどめております」
 

政治の責任として検討が必要ということは、国会で立法措置の議論が始まった場合は、天皇陛下のお気持ちに沿う形で共産党としても実現に向けて検討していくのか

 「そこはですね、やはり現憲法では天皇は政治的権能を有さないという規定がございます。それにしっかりのっとった対応が必要になります。ですから、今日のご発言を直接受けた形での立法ということではなくて、今日のご発言については、私たちとしてはよく理解できますということです。そして、あくまでも政治の側の責任としてですね、生前退位について真剣な検討が必要だと、これは政治の責任として、今日のご発言はよく理解することができます。その上で、政治の責任としてあくまでもこれは、政治が責任を負う形で決められるべきだということで先ほど冒頭述べたような発言を致しました」
 

本日のお気持ちの表明は政治的発言と理解しているのか

 「これは、そうならないように、よく配慮して発言されたのではないかと思って聞きました。直接の形でですね、生前退位、あるいは今の制度のあり方について述べられたわけではないと。そこは、政治的発言にならないようによくご配慮がされていたんではないかと思って聞きました。政治の側も、そこは政治の責任として対応といいますか、先ほど述べた生前退位という問題について検討が必要だと、政治の責任としてはということです」
 

生前退位について示唆されたことはご発言から認められるという趣旨か

 「冒頭述べた通りです。ですからこれは高齢によって象徴としての責任を果たすことが難しくなるのではないかと案じているというご発言として聞きました。このお気持ちは良く理解できるということに尽きます」
 

特別立法や皇室典範の改正の議論については
 「現時点でどういう対応ですね、法的な対応がいいかということは、まだそこまで踏み込んで述べることは控えたいと思います。可能性としては皇室典範の改正、そしてあるいは特別立法といういくつかのやり方があるんでしょうけれども、これは今後よく検討をしていけばよいのではないかと考えております」
 

天皇陛下の公務負担の軽減の観点からどのような範囲で検討したらいいと考えるか

 「今日のご発言の内容というのは、公務軽減という話ではないと思うんですね。要するに、高齢になったことに従って象徴としての責任を果たすことが難しくなるのではないかということを案じているという、いわば高齢との関係でご発言だっと思うんです。ですから、私たちとしてはあまり話を広げないで、やはりそういう点をよく、私たちとしてはよく理解できますということを申し上げました。政治の側の対応としてもですね、いろいろと話を広げずに、先ほど述べたように生前退位という問題についての真剣な検討が必要になってくる。いろんな問題が関連してあると思いますけれども」
 

国民的な議論という意味で、どういう方法を考えるか。国民の意見をどのように吸い上げるのか

 「この問題、先ほど冒頭言った、対応をやるとしてもですね、これは法律の改正の問題だと思っております。憲法の改定に関わる問題ではないと思っております。ただ、これはどんな法律でもそうですけれども、とりわけこういう国のあり方に関わる問題ですから、国民の合意をしっかり得て、ことを進めるべくいろんな手続きが必要だと思っています。それは今後、政府としても考えるでしょうし、私たちとしても必要なことは発言していきたいと思っています」
 

共産党は国民の総意による将来的な皇室制度の廃止を掲げているが、去年9月の国民連合政府の構想提唱にあたって棚上げも表明している。その中で今年の国会の開会式には出席もしている。党として皇室制度のあり方について議論する考えはあるか

 「これは平成16年の綱領を変えているときに、今の天皇の制度ついては突っ込んで議論を致しました。それまでは君主制の一種という規定付けがありましたけれども、政治的権能を有しないというふうに憲法で規定されている以上ですね、君主制と見ることは適切でないということを含めて随分突っ込んで憲法上の制度のあり方は党としては16年の段階で議論をして、その内容を踏まえてですね、現綱領にどういうふうにしていくのかについての記述がなされています。ですから党として天皇の制度についての考え方の整理は16年の党綱領で十分尽くされていると思っています」
 

つまりこれから議論していく予定はない

 「そういう根本的な議論は、大体尽くされていると思っております。いろんな対応についてはね、この間、開会式その他、対応を発展させたものもありますけれども」
 

今回の陛下のお言葉を受けた国会対応は基本的に法律改正などで、憲法改正について議論する必要はないという考えか

 「それはそう思っております。日本国憲法でですね、生前退位を禁じているとか、そういうことは一切ありません。私は日本国憲法に照らせば、これは1人の方が亡くなるまで、仕事を続けるというあり方は、これは見直すというのが日本国憲法の根本の精神に照らせば、そういうことになるのではないかと考えております。ですからこれは、法律の問題だというのが私たちの理解です」
 

具体的にはどういうことか 

 「今言ったことに尽きます」
 

基本的人権の観点か

 「やはり、人権、人間としての権利、これは広く保障されなければならないということです」
 

国会で共産党として議論に応じるということか

 「もちろんです。政治の責任として生前退位についても真剣な検討が必要だと考えますと述べたわけですから、そういう方向で責任を果たしていくということが今後必要になってくると思います。ただ、どういう段取りでね、あるいはどういう時間軸でやるかについては、これは今何とも言えません。慎重な対応が必要だと思います。それから先ほども申しましたが、憲法4条のですね、政治権能を有しないというこの制限条項はしっかり守っていく必要が政治の側にも求められるわけですね。これは。ですからそこも良く考えて対応が必要になってくると思います」
 

民進党の代表選に関して蓮舫代表代行が立候補したが、綱領や政策と違うところとは一緒に政権を目指すことはないなどと発言した

 「民進党の代表選挙の中で、まだ候補者の、名乗りを上げられているという段階だと思うので、そういう個々の方々のご発言にコメントすることは控えたいと思います。ただ、共産党と民進党、そしてまた野党4党の間では総選挙についても選挙協力を行おうという点でも党首間の合意があります。これは公党間の合意であり、公党間の約束事項だというふうに考えています。私たちはこの合意事項、約束事項に誠実に順守して対応していきたいという対応には変わりはありません」
 

お気持ちを表明されたのは異例のことだが、こうしたことについての考えは

 「ああいう形で率直なお気持ちをお述べになったのは良かったと思っております。そしてそれについては良く理解できるというのが私たちの気持ちです」


http://www.sankei.com/politics/news/160808/plt1608080042-n1.html

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