2016年8月14日日曜日

財政膨張政策への転向
「海つばめ」ダイジェスト8月13日号

★自民党と反動どもの改憲策動、軍国主義路線を断固粉砕しよう!
★「搾取の廃絶」と「労働の解放」の旗を高く掲げよう!
★「労働者党再建」と「国政への復帰」を勝ち取ろう!
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「海つばめ」ダイジェスト 第476号
 2016年8月13日【無料版】
 マルクス主義同志会 http://www.mcg-j.org/
 ――嵐よ! 強く強く吹き荒れろ!――

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財政膨張政策への転向
安倍黒田の?異次元?策も種切れだ
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 安倍は参院選で勝利し、参議院でも憲法改定を発議できる国会勢力を獲得した。憲法9条となると公明党との関係は容易ではないが、しかし憲法改定発議という困難な第一歩を突破することは可能になった。しかし安倍はその自らの野望は秘めて、志半ばだと自らいうアベノミクスの達成のために邁進するというのである。なぜか、安倍の意図は何か、そして安倍の経済政策における転向は、安倍政権を、日本の経済を、政治をどこへ導くのであろうか。
 憲法改定ではなく、デフレ脱却こそが参院選の“焦点”であり、「アベノミクスをさらに進めるのか、止めるのかを決める選挙戦」と位置づけたのだから当然のことだとでも言いたいのだろうか、あるいはここでデフレ脱却が空語に終わり、経済的な停滞や危機が深まっていき、安倍とアベノミクスの信認が煙のように消えていけば、そして安倍の経済政策に対する呪詛や憎しみの声がちまたに満ち満ちるような時代になっていくなら、9条改定の野望もまたついえるのを恐れて、アベノミクスの“完遂”をまずやり遂げようというのであろうか。

 参院選では安倍自民党は勝利したのだが、それは国民が、労働者、勤労者がアベノミクスの恩恵を十分に受けて、積極的に安倍の政治を評価したからではなく、アベノミクスなど評価しないのだが、他に支持する政党がないから、民進党や共産党はどうしようもないから、やむなく、そして渋々、安倍自民党に投票していると知って、つまり高い支持率を維持する自分の政権も決して安泰ではないと知って、危機意識を高めているからであろうか。

 安倍にとって政権を維持する動機はただ一つである、つまり権力志向である。彼の権力主義は9条の改定よりも強いとさえいえる、というのは、安保法成立も集団的自衛権行使容認などは、現行憲法のもとで「解釈改憲」という不まじめなやり方でいくらでも可能だし、また自民党の半世紀の歴史の中でも一貫してそうしてきたことであって、憲法改定などなくても実際的にはほとんど差し障りがなかったからである。

 安倍がアベノミクスの達成、つまり「デフレ脱却」――それがどんなものであるかは、今もって不明瞭である。2%の物価上昇ということでいいのか――は、今や安倍が権力を維持する上で、最大の課題(つまりそれが不調であることが最大のネック)となっているのであって、その点で失敗していくなら、安倍の権力は根底から揺らぎかねないのである。

 だからこそ安倍は憲法改定ではなくて、今やアベノミクスの“達成”のために真剣にならなくてはならず、憲法改定は一時棚上げする、あるいは先延ばしするのであり、そうすることが最善と判断するのだが――それこそ、安倍が巨額の財政バラまきを叫び、そんな政治に狂奔し始める理由であり、必然性である――、しかし今後そんなやり方でアベノミクスを「加速」することが経済や財政の破綻に直結することが明らかになっていくなら、安倍のこんな思惑は逆に出るしかないのである。

 安倍が財政バラまきに走り、デフレ脱却を叫ぶのは、労働者、勤労者の現実の生活やその困難のことを考えてではないし、ブルジョアとして安倍は、そんなものにほとんど関心を持ってはいない。労働者、勤労者の生活はブルジョア的繁栄の結果として、そのおこぼれとして、つまりブルジョアたちの株価高騰や、利益や所得の増大の“トリックルダウン”(おこぼれのしたたり)としてのみ可能であり、あり得るのであって、それ以上ではないのである。

 そして消費増税を何回でも延期するが、それもまた労働者、勤労者のためではなく、選挙で増税を謳ったら不利だという打算だけからことであった(もっともらしく、増税したら消費を後退させて不況を深化するなどと言いはやしながら)。消費増税で年金など社会保障の充実を図る、財政再建にも資すると約束してきたことからするなら、国民への裏切りでさえある。

 国民以上に、現実から目をそらしているのは安倍であり、安倍政権である。

 金融緩和で失敗して懲りたかと思うと、反省し、思い直すどころか、今度は金融緩和ではなく、「財政出動」だ、金融緩和だけではダメなら、財政膨張と結びつけてやる、いやそれも面倒くさい、「やれることは何でもやる」、可能な政策手段を「総動員する」と絶叫するのだから、安倍政権は理性を失い、まさに財政破綻、経済破綻猪のように盲進しているようにしか見えない。

 あたかも天皇制軍部が一旦始めた反動戦争をどんなに愚劣戦争であり、早期に戦争を止めるしかないと分かっていて、本土決戦と原爆投下、ソ連の参戦に至るまで止められなかったのと同様で、日本の金融・財政の破綻、そして経済全体の破綻に行き着くまで、金融緩和や財政膨張をますます「加速」させるしかないのである。

 金融緩和と財政膨張を結びつけるということは、日銀の?ファイナンス?に依存した財政膨張をこれまでと違ったやり方で、つまり「異次元の」やり方(国債の直接の日銀引き受け、あるいは何らかの形の?ヘリコプターマネー?方式)で行うという宣言であり、財政再建の完全な放棄であり、むしろ財政のことは配慮しないで財政バラまきに徹し、通貨の紙幣化を策すという宣言、2%のインフレどころではなく、数%、あるいは10%、20%のインフレも辞さないという宣言ではないのか。

 1000兆円にも達する国家債務、つまり国家の事実上の破産状態を目の前にして、安倍はこともあろうに、さらに「財政規律」を疎かにし、最終的に投げ捨てるような財政バラまき政治に走り始めたのである。何を考えてのことかは知らないが、それが安倍政権にとっても破滅の途であることだけは確かである。そんな政治は近い将来、労働者、勤労者にとって大きな災厄として、生活を脅かし、破壊する危機として訪れてくるであろう。

 いわゆる「市民」たち――インテリやマスコミ人や学生や主婦(「ママ」)たち――は、労働者、勤労者と違って自ら生産的な労働に従事しない階層であり、したがって生活のことを他人事のように感じるのであり、観念的な憲法幻想とか立憲主義幻想にいくらでも取りつかれ、そんなものが参院選の“争点”だと思い込むのだが、実際には、社会の根底的な関係を規定するのは生産や分配であり、したがってそれらがいかなる関係のもとで、いかに行われるかである。

 安倍は野党の軽視する、それらの問題で労働者、勤労者に解答を与え得るかに思い込み、あるいは幻想で釣ろうとして、アベノミクス等々を持ち出すのだが、そんなものは頽廃した現代ブルジョアの幻想であり、世迷い言であることが分かっていないのである。

 そして問題は野党を自称する民共もまた、安倍らと同様な幻想を、ケインズ主義的な幻想を共有しているのであって、まさにそれ故に、安倍政権やアベノミクス等々を根底から批判して闘い抜くことができないということである。安倍政権が「経済政策を総動員」して、つまりカネを無制限にバラまいて刺激し、訴えようとする「市場」とは結局は実物市場ではなくて金融市場である。株価が上昇していけば、企業が万々歳だというのだが、しかしかつて金融緩和をきっかけとする株バブルがあったが、それは経済の実質的成長とは別であり、むしろ結局はそれにとって有害であり、経済の長期的な衰退や停滞につながっただけであった。

 金融資本は、産業資本の発展や搾取強化を助長することでブルジョア社会において大きな意義を持ちうるが、産業資本の生む利潤のおこぼれによって生きる存在に過ぎず、その意味では主役でなく、寄生的な脇役である。そしてそんな脇役が主人顔してのさばる社会は頽廃した社会になるし、なるしかないのである。

 産業資本の繁栄ではなくもっぱら金融資本が浮かれるような「経済政策」に熱中する、現代のブルジョア国家とは転倒した観念と幻想に生きる、間違った存在ではないのか。安倍政権が本当の「経済成長」等々をもたらすのではなく、ますますその反対に行き着くのは一つの必然ではないのか。

 現代の資本は、そしてその国家は頽廃し、反動化し、今後はただ腐っていくだけである。

 今こそ資本の支配とその根底に向けられた労働者、勤労者の闘いが、「労働」の解放――労働の搾取と差別の一掃――を目ざす労働者の果敢な闘いが組織されて行かなくてはならないときである。


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