2016年7月22日金曜日

民主労総ゼネスト情報(16年7月18日)


 韓国での階級対立はますます激化、非和解化している。パククネ政権は、7月4日のハンサンギュン委員長への懲役5年判決、6日の鉄道全面民営化計画発表に続き、8日には高高度迎撃ミサイルTHAAD(サード)の韓国配備を決定。14日には4月総選挙で当選した民主労総の議員に「選挙違反」容疑で家宅捜索の弾圧にのりだし、16日には最低賃金委員会で労働者側委員を排除しての反動決定を強行した。これらすべてに、労働者の怒りと「ゼネストで闘おう」の声はいよいよ高まっている。以下、この間の動きです。

 
サード配備に現地住民が「決死反対」の大決起

  サード配備予定地となった慶尚北道の星州(ソンジュ)郡で7月15日、怒りが爆発した。郡庁舎を訪れたファンギョアン首相とハンミング国防長官に対し、住民3000人が「決死反対」の鉢巻きを巻いて決起し、配備決定の白紙撤回を要求した。小中高校生800人も学校を早退して参加した。郡庁舎前で説明に立った首相と国防長官に水入りペットボトルや生卵を投げつけ、ほうほうの態で退散しようとする一団を追いかけ、車を取り囲んで脱出を阻止し、6時間も足止めを食らわせた(写真左)。住民に何の説明もない突然の決定に「私たちをあまりに虫けら扱いしている。星州であれ、どこであれ、サードは絶対来させない」(現地住民の声)。三里塚闘争の初期を思わせる大闘争の始まりだ。
 16日にはソウルで民主労総や市民団体代表、青年・学生など300人が、サード配備は「平和への脅威、住民の生存の脅威」と弾劾し米大使館へのデモを行った(写真右)

全国プラント建設労組10万人が7・20ストライキを宣言

 建設労組が7月6日から無期限ストに突入したのに続き、7月13日、全国プラント建設労組が記者会見を行い、パククネ政権の公安弾圧と反労働者政策に対して7月20日ゼネストを宣言した。全国の石油化学、製鉄、発電所の建設現場で10万組合員がストに決起する。
 建設労組やプラント建設労組は、重層的下請け構造の下で「土方(韓国語でノガダ)」として働く日雇い労働者などを数多く組織している。労働災害や賃金のピンハネが日常の世界で、資本・権力は労働者の団結を最も恐怖し、労働災害など資本の不法を告発する労組の活動に逆に「脅迫」「恐喝」などの刑事弾圧をもって襲いかかっている。プラント労組は現在5人が拘束され、建設労組は15人が実刑を含む有罪判決を受けた。「死なずに、安全に働く権利を!」は今や彼らの最も切実な要求だ。

造船労連が民主労総ゼネストに合流

 7月13日、現代重工業など造船8社の労組で組織する造船労連が、7月20日の民主労総ゼネストに合わせて一斉ストに立つとの記者会見を行った。そのトップ組合である現代重工業労組(組合員1万5千人)は7月19日、20日、22日と3日間のストを決行する。19日には午後3時間、20日には同4時間、22日には全組合員が午前9時から7時間のストライキに入る。
 現代重工業労組は、かつては工場占拠などの大闘争を展開して民主労総結成の母体となった組合だが、その後労使協調路線に転換したため、現在は民主労総に所属していない。その現代重工業を先頭とする造船労連が今回、民主労総ゼネストに合流してストライキに立つことは決定的だ。造船産業は大恐慌の直撃を受けて危機にあえぎ、政府と資本は一切の犠牲を労働者に集中して大量整理解雇の攻撃に出ている。造船労連はさらに「7・20ゼネスト後も、政府が解雇を強要する構造調整を中断しないならば、生存権死守のために追加のゼネスト闘争を展開する」と発表した。

現代自動車労組がスト権確立! ウルサンがゼネストの大拠点に

 現代自動車労組もまた、全面スト突入を決定した。全組合員4万8千人を対象にしたスト賛否投票で、85・5%の賛成で圧倒的にスト権を確立。7月19~22日の4日間、連続してストに入る。金属労組全体では、7・20ゼネストを全力で闘いぬいた上で22日には全職場でのゼネストとともに全国からの上京闘争を決行し、ソウルの現代自動車本社前で7・22金属労組ゼネスト大会を開く方針だ。
 これを受けて民主労総は、現代自動車工場の本拠地である蔚山(ウルサン)で記者会見を開き、7月20日に全国13地域で展開されるゼネスト・総力闘争において、ウルサンを最重要の地域拠点として闘う方針を発表した。ウルサンでのゼネスト大会は、現代自動車労組と現代重工業労組が実に23年ぶりの共同ストライキに突入する中で、そこに金属労組、建設労組などが結合し、2万7500人の組合員を総結集して開催される。
 この記者会見が行われた7月14日当日の朝、検察は現代自動車組合員出身のユンジュンオ国会議員(本年4月の総選挙で民主労総の戦略候補として無所属で立候補し、与党候補に大差をつけて圧勝した)に対し、「選挙法違反」の疑いで議員宅始め8ヵ所への不当家宅捜索を強行した。追いつめられたパククネ政権の公安弾圧に、怒りはますます高まっている。

二大労総、最低賃金委員会の「死」を宣告

 7月16日、最低賃金委員会は2017年の最低賃金を時給6470ウォンと決定した。労働者側の最低賃金1万ウォンの要求に対して使用者側は「賃金凍結」を主張してきたが、委員長の一方的な会議運営に抗議して労働者委員が退場した後、16日の午前3時に使用者委員と公益委員だけで電撃的に決定を強行したのだ。そもそも公益委員はその全員が大統領によって任命され、最初から資本の立場に立っている。民主労総は韓国労総とともに「最低賃金委員会の死を宣告する」との共同声明を発し、労働者の生存権を守るためにはもはや現行制度を解体し、全く新たな体制に作り変える以外ないと訴えた。

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