2016年9月7日水曜日

ロビンソン物語をどう理解するか
「海つばめ」ダイジェスト9月7日号

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★「労働者党再建」と「国政への復帰」を勝ち取ろう!
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「海つばめ」ダイジェスト 第484号
 2016年9月7日【無料版】
 マルクス主義同志会 http://www.mcg-j.org/
 ――嵐よ! 強く強く吹き荒れろ!――

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ロビンソン物語をどう理解するか
そこには社会主義の本質的内容が含まれている
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福山「資本論」を読む会で問題になった点から

 学習会で問題になったのは、第1章「商品」第4節「商品の物神的性格とその秘密」の第12パラグラフをどのように理解するかでした。マルクスはロビンソン物語を引用して「この中には価値の一切の本質的な規定が含まれている」と強調しましたが、このことが未来の共同体社会・社会主義社会と同様な内容であり適用されるということで、そのためにロビンソンの孤島での生活を紹介しています。

 まず、「価値の一切の本質的な規定」が適用された未来の共同体社会・社会主義社会ではどのように生産・労働が組織されるのでしょうか。

 資本主義社会のような個々の資本家による無政府的な生産と違って、社会の全成員の為に計画的な生産が行われます。社会の全成員の欲求、社会に必要な物質がどれ位あるのかに基づいて、それぞれの物質を生産するために必要な具体的労働の内容と必要労働時間が、社会の総労働時間が明らかにされます。そして総労働時間から一人の労働者の労働時間も明らかになるとともに、個々の労働部門にどれくらいの労働(時間)を配分する必要があるかということもはっきりします。

 社会主義社会では労働可能な成員すべてが何らかの労働に従事します。資本主義社会におけるような不生産的な部門に従事する労働者は原則的にいなくなりますし「働かざる者食うべからず」(働ける能力があるのに働かないものは社会の富=労働生産物を受け取る権利がない)が適用されます。他方、未だ労働する意思も能力もあるのに強制的にリタイアさせられて年金生活を送るといった者もなくなり、年齢や体調にふさわしい労働に就く事ができるでしょう。女性は社会的な保育、教育により出産と一定期間の休養以外は労働に従事することが可能です。これまで行われていた家事は社会的な労働の一部として行われ、個人的に行われている家事は最小限になるでしょう。

 労働そのものの内容もすべての労働者が計画に参加し、一生同じ労働や人間が機械に使われるような労働の疎外から解放されて、真に人として労働に携わることになるでしょう。また社会主義社会では、教育と生産的労働が結びつけられ、学生も現代の資本主義社会での教育のように
“空虚”な知識の詰め込み教育――学生自身、何のために学ぶのか分からないとか、どんな意味があるのか分からないような――は解消され、生産的労働と結合された教育で学ぶことにより、自らも社会の一成員としての自覚をもつことができるでしょう。

 そして、資本主義社会から生まれたばかりの社会主義社会では、社会の労働可能な成員による労働生産物は、労働不能者の分と社会的共有分、備蓄分を除いて労働時間に応じて社会の成員に分配される事になります。ここでは、労働時間に応じて受け取るという“平等”が貫かれます。そして、高次の共産主義社会では増々発達した生産手段によって労働時間は極端に短くなり、労働の意味合いも人間生活に必要だからということから、個々の人間の様々な能力の全面的発達の為へと変わっていくでしょう。人々は欲求に応じて働くとともに、人間に本来備わっている労働以外の芸術やスポーツなどの能力をもおおいに発揮することができるようになります。

 折角、ロビンソンが登場して一人の生活とは言え未来の共同体社会・社会主義社会の“設計図”の下地を描いているのですからロビンソンの孤島での生活を見てみます。ロビンソンは漂流してたどり着いた孤島で、たった一人で生きていくために計画を立てます。それは生活をしていくうえで必要な生活物資、様々な欲求を満たす有用物をすべて自分一人の労働で作り出すということでした。

 そのためにロビンソンが行ったことは、ロビンソンの生活、欲求に必要な有用物其々を生産するためにはどのような有用労働が必要であり、其々の労働時間はどれだけ必要かを考え、総労働時間を明らかにした上で其々の労働への配分を行いました。このような一連の工程は、ロビンソンは一人のことだけでしたが、未来の共同体社会・社会主義においても基本的には同様なことが行われるという意味で、マルクスはロビンソン物語には「価値の一切の本質的な規定が含まれている」と言ったのです。

 つぎに、「資本論」を読む会で見解が異なった点ですが、Aさんからは12パラグラフのロビンソン物語の引用は、「価値の一切の本質的な規定が含まれている」が故に未来の共同体社会や社会主義社会を指し示している。との見解が述べられたのですが、それに対してBさんからは「ここでのロビンソンの例について、直接には商品生産との対比で、価値という物質的な形態で表われずに、そのまま労働と労働の関係という形で、透明な関係として表われることをいう為の事例としていっているのであり、直接に共同体社会や将来の社会主義との関連ではいわれてない」との見解が出されました。

 上述したロビンソンの例からも明らかなように、そこには「価値の一切の本質的な規定」つまり社会主義の「本質的な内容」が含まれていました。ただロビンソンは一人で、未来の社会主義は人間の共同社会という違いがあり、そうした違いを確認したうえで「社会主義の本質」とそのイメージをより深く(豊かに)していくことが大切だと思います。

(福山「資本論」を読む会)

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