2010年1月24日日曜日

現在の労働貴族

 現在の不況の中で、非正規労働者はもとより、正規労働者もまた、過重労働、長時間労働、賃金・ボーナスカットなど、資本の攻撃にあえいでいる。

 だが、労働者のこうした窮状を後目に一部労働組合幹部は、組合員から、資本家・使用者の手を借りて「チェック・オフ」で、組合員から集めた貴重な組合費を浪費している。
 たとえば、今年、日本郵政グループ労働組合(JP労組)・新宿支部。東京地区本部から、八百五十万円の配分があったが、このうち五百五十万円が消えていた。書記次長、組織部長、会計担当などの労組幹部が、キャバクラ通いなどで使いこんでいたのである。

 これら事実が判明後、彼らは四百八十三万を返済したが、このことを持って、JP労組は彼らを除名などもせずに免罪とした。

 だが、仲間うちだけでなく、部外者の参加があれば「組織対策費」、執行委員全員が参加していれば「執行委員会議費」として、落とせるという。

 JP労組の中央役員の年収は二千五百万円という。三役になれば、それ以上、事務次官以上の年収があるという(『週刊ダイヤモンド』十二月五日)。だか ら、出世を望む組合役員は、郵政当局、組合の上部組織の覚えがよくなければ、ならない。組合費の「組織対策費」「調査研究費」などを使い、「官官接待」な らぬ「労労接待」と称して、組合の上部組織を接待するという。

 JP労組では、ストはしなくなったが、闘争資金を毎月集め、その額は、巨額にのぼっている、労使協調に走り、階級的精神を欠いた労働組合幹部は、かくのごとく堕落していく。

 高杉良の小説『労働貴族』の中では、自動車労連会長・塩路一郎が豪華クルーザーで遊び、愛人を囲った姿が暴露されている。

 階級協調に走り、労働者の犠牲の上に、特権的な位置を占める、現在の「労働貴族」は、昨今の頽廃した労働組合の姿を如実に表すものである。
(村)

「海つばめ」第1113号(2010年1月24日)






0 件のコメント:

コメントを投稿